採用管理システム(ATS)は、人事部門や経営層にとって「効率化」「候補者体験向上」「データ活用」を実現する重要なツールです。ただし、導入の成否は商談時のヒアリングの質に左右されます。
ここでは営業現場で使える、フェーズごとの具体的な質問例を整理します。
目次
事前準備フェーズ|課題仮説を立てる
ATS導入を検討する企業の典型的な課題は以下。
- 応募者管理がスプレッドシートやメールで属人化している
- 書類選考や面接調整に時間がかかりすぎている
- 内定辞退が増えている/候補者体験が悪化している
- 採用コストが増加している
これを前提に「課題仮説」を3〜5個持って商談に臨む。
準備質問例
- 「直近の採用人数と応募者数の比率はどのくらいか?」
- 「採用コストの内訳(媒体・エージェント・人件費)は?」
- 「採用フロー(応募→内定)に平均何日かかっているか?」
初回商談フェーズ|BANTで課題を顕在化させる
Budget(予算関連)
- 「採用関連のシステムや媒体費用は年間どれくらいですか?」
- 「コスト削減が優先ですか?効率化が優先ですか?」
Authority(決裁権)
- 「ATSの導入判断は人事部長ですか?経営層ですか?」
- 「導入を後押しするキーパーソンは誰でしょうか?」
Need(課題)
- 「1名採用するのに、平均どのくらい工数がかかっていますか?」
- 「候補者との連絡で一番手間取るのはどこですか?」
- 「採用フローで一番ボトルネックになっているのは?」
Timing(導入時期)
- 「次の採用繁忙期までに改善を間に合わせたいとお考えですか?」
- 「年度末・新年度に合わせた導入を検討されていますか?」
再商談フェーズ|MEDDICで提案を磨き込む
Metrics(成果指標)
- 「導入効果を測る際、最重要指標は何ですか?(採用リードタイム、内定承諾率、候補者満足度など)」
Economic Buyer(経済的決裁者)
- 「経営層はどの視点を重視されていますか?(コストか人材確保か)」
Decision Criteria(意思決定基準)
- 「比較される他のシステムと比べ、最重視するのは機能?価格?UI?」
Decision Process(意思決定プロセス)
- 「検討から導入決定までの社内フローはどのようになっていますか?」
Identify Pain(痛点特定)
- 「採用活動が現状のまま進むと、一番のリスクは何ですか?」
Champion(推進者)
- 「採用改善を一番強く推進されているのはどなたですか?」
成約クロージングフェーズ|不安解消とアクション合意
不安解消の質問
- 「導入にあたって一番ご心配な点はどこですか?(費用、操作性、社内浸透など)」
- 「現場メンバーからの反発があるとすれば、どんな点でしょうか?」
アクション合意の質問
- 「次回までに必要な資料や試算をこちらで準備してもよろしいですか?」
- 「導入検討を進める場合、◯月までに社内稟議を通すイメージでよろしいですか?」
- 「実証利用(PoC)を◯週間で始めることは可能でしょうか?」
まとめ
- 事前準備:応募者数、採用工数、コストの仮説を立てておく
- 初回商談:BANTで「予算・決裁・課題・時期」を明確化
- 再商談:MEDDICで導入判断の基準と推進者を特定
- クロージング:不安を引き出し、次の行動(資料、PoC、稟議)を固める
HR Techの商談は「効率化」だけでなく、「候補者体験」「経営課題(採用できないリスク)」まで踏み込んだ質問がカギ。


 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			
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